農業・ガーデニング・園芸・家庭菜園マガジン[AGRI PICK] > 暮らし > 家庭菜園で野菜を育てながら備蓄するローリングストック!

家庭菜園で野菜を育てながら備蓄するローリングストック!


育てた野菜を収穫して料理することで、買い物に行く回数を減らし、新鮮な野菜を食べることで体調も整える。何より育てた野菜をおいしく食べることが大きな喜びになる!野菜やハーブを育てながら備蓄する「家庭菜園で備えるローリングストック」を提案します。
  • Facebook
  • Twitter
  • はてなブックマーク
  • Pocket
  • Feedly


ベランダで家庭菜園を楽しむベランダ菜園

出典:Pixabay
今回の新型コロナウイルスが広がる状況で、私たちは不要不急の外出を控える「stay home」を強いられました。いつまでこの状況が続くのか、先が見えない不安を抱きながら必要に迫られた「おうち時間」。今後、またいつ起こらないとも限りません。
どうせ「stay home」するなら気持ちも明るく心豊かに、心身ともに健やかな日々を暮らしたい。そんな皆さんに野菜やハーブを育てながら備蓄する「家庭菜園で備えるローリングストック」を提案します!

「ローリングストック」は災害時の備蓄と何が違うの?

瓶に野菜が入ったピクルスなど食料備蓄しながら消費するローリングストック
出典:Pixabay
ローリングストックとは、普段から少し多めに食料や日用品などを買い置きしておき、使うごとに補充して「使いながら備蓄する」ことです。常に一定量の食料や日用品が用意されている状態をいいます。
社会情勢が不安定になると、トイレットペーパーやパスタなどの商品が品切れしてしまうといった混乱が度々起こります。これは、SNSの噂などで、物資供給の不安に陥った多くの人がいつも以上に一気に購入することから生じます。日頃からローリングストックを心がけておけば、さまざまな情報に惑わされず、冷静にいつもの暮らしを続けることができます。

参考:日本気象協会 「トクする!防災 備蓄の心得 ローリングストックについて」

災害時の備蓄

災害時の備蓄とローリングストックでは、どんな点が異なるのでしょうか?

最低限3日分の備蓄が必要

災害発生直後は、物資の支援よりも生存者の救助が優先されます。救助のリミットは72時間といわれ、日数にして3日間なので、最低でも3日以上家族が生活できる備蓄が求められます。いま一度必要な食糧や日用品について考えてみましょう。

▼保存食や防災グッズのことならこちらをご覧ください。

備蓄する物品

東日本大震災では、電気、水道、ガスといったライフラインが9割程度復旧するまでかかった日数は、電気が6日、水道が24日、ガスは34日でした。
内閣府による首都直下地震(東京湾北部地震M7.3 被害最大ケース)の想定では、復旧までに電気が6日、水道が30日、ガスは55日かかるとされていますので、このライフライン復旧の目安から、備蓄する物資の項目について家族で話し合うといいですね。

参考:内閣府(http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/senmon/shutochokkajishinsenmon/15/pdf/shiryou2.pdf)

パンデミック時には「家庭菜園」という備蓄もプラスする!

stay home
出典:Pixabay
今回の新型コロナウイルスのようなパンデミック時での備蓄は、災害のときと少し異なります。ライフラインや生活に必要な買い物は、外出自粛期間でも困ることはない範囲で、通常通り続けることができました。
では、一体何を備えたらいいのでしょうか。

家庭菜園で「食」も「心」も備えるローリングストック

家庭菜園で育てたバジルやラベンダーなどのハーブを暮らしに取り入れる
出典:写真AC
一見いつもと変わらない生活ですが、「ウイルス」という見えない敵と戦わなければならないため、どうしても心が不安定になりがちです。不要不急の外出も控えなければならず、ストレスもたまる一方に。
そんなとき、家庭菜園で育てた野菜を収穫して料理すれば、良い気晴らしになります。また、買い物に行く回数を減らし、新鮮な野菜を食べることで体調を整えてくれる効果も。そして、何よりも育てた野菜をおいしく⾷べることの喜びが、パンデミック時に「心を安定させる備え」となります。

しかも家庭菜園は備蓄と保存性に優れている!

筆者の経験ですが、レタスなどサラダに使う野菜を収穫したまま、冷蔵庫に入れてうっかり1週間以上放置したことがあります。恐る恐る冷蔵庫の隅に追いやられた野菜を手にとってみると、まだみずみずしい状態。つまり、家庭菜園で収穫した野菜は、スーパーなどの小売店で購入した野菜と違い「流通」が省かれるので、新鮮な状態が長く保たれます。収穫するまで生きた状態で「備蓄」し、収穫した後は購入した野菜より長く「保存」が可能なので、ローリングストックとしても家庭菜園はとても優秀な方法です。

このように、家庭菜園はパンデミック時の「心を安定させる備え」となるほかに、「食の確保」という課題においても、優れたローリングストック術になるのではないでしょうか。


自分に合った家庭菜園のカタチを見つける

ローリングストックを目指した窓際で野菜やハーブを育てる家庭菜園
出典:Flickr(photo by Laura Blanchard
ローリングストックを目的とした家庭菜園を始めるとき、どの場所でどのように育てるか、その環境は人それぞれ違います。ご自身のライフスタイルに合った家庭菜園のカタチを見つけましょう。

窓辺の家庭菜園

窓辺で栽培中のハーブやベランダや畑で育てた野菜を使って料理
出典:Flickr(photo by Donna Trethewey
お庭もベランダもない場合は、日の当たる風通しのいい窓辺での家庭菜園がおすすめです。

半日陰でもOK!

植木鉢で野菜やハーブを育てる窓辺の家庭菜園
出典:Flickr(photo by rudy.kleysteuber
窓辺の日当たりが十分ではないかも…なんて諦める必要はありません。というのも、植物には太陽の光が必要なもののほかに、程よい光でもよく生育するものがあるからです。
ハーブは半日陰でもよく育つものが比較的多いので、人気のバジルやパクチー、和ハーブならシソやミツバなどから始めてみてはいかがでしょうか。

▼おすすめのハーブのことならこちらをご覧ください。

お家にある材料から

窓辺の家庭菜園で卵パックに土を入れ、種まきをしたところ
出典:Flickr(photo by John Bell
最初から材料を購入しなくても、家にあるもので気楽に始めてみると実験みたいで楽しいですよ。
例えば、卵の紙パックを再利用したり、トイレットペーパーの芯や新聞紙を筒状にしたりして育苗ポットを作り、土を入れて種をまき、少し大きくなったら、今度は使っていない鍋やボウル、ペットボトルの底に穴をあけた手作りプランターに移し替えて窓際で育ててみるのはいかがでしょうか。

スペースがもう少し広いベランダやお庭なら、着古したジーンズやスニーカーに土を入れて育てたり、100均などで購入した不織布でできた収納やバック、麻袋や穴をあけた米袋だってプランターの代わりになります。

▼キットなしで育てる水耕栽培のことならこちらをご覧ください。

ベランダ菜園

ベランダ菜園
出典:写真AC
もっと多くの野菜やハーブの収穫を目指して、ベランダ菜園はいかがですか?
プランターの深さが30cmくらいあれば、ミニトマトなど本格的な野菜でも十分育ちます。冬場の日がよく当たるベランダは、畑で育てるよりも温度が高いので、予想以上に長い間収穫できることも。

関東に住む筆者の経験だと、夏から育てたミニトマトは2月上旬まで西日が当たるベランダでゆっくり生育していました。霜が降りたときに1日で枯れてしまったのですが、そんな寒い日は家の中に避難してあげたなら、きっとまだまだ育てることができたと思います。というのも、トマトは日本のような寒い冬がある地域では1年生作物として栽培されますが、原産地では多年草作物なのです。

▼ミニトマトの育て方ならこちらをご覧ください。

▼育てる野菜に適したプランターのことならこちらをご覧ください。

始める前の確認をお忘れなく

ここで注意!マンションによって、ベランダにプランターを置いていいのか、置く場所は非常口付近や室外機の位置ではないかなどについてしっかり確認しておきましょう。非常事態に備えるローリングストックのために行っていた家庭菜園が、避難経路を通せんぼしていた…なんてことがあってはならないですからね。

▼ベランダ菜園を始める前にこちらをご覧ください。

省スペースのミニマム派に

ベランダ菜園でベビーリーフやローズマリーなどのハーブを栽培
出典:写真AC
大きなプランターを置く場所がない、洗濯ものを干す場所しかないという方は小さなプランターでもOK!移動可能なプランターなら、洗濯ものを干すときだけ移動させることもできます。

▼ベランダやフェンスで育てるときのプランターならこちらをご覧ください。

グリーンカーテンで省エネを兼ねたローリングストック

植物の蒸散や日差しの照り返しを防ぐ効果で、夏の窓辺の温度を下げてくれるグリーンカーテン。植物の呼吸によって二酸化炭素削減やリラックス効果もあるため、大きな商業施設のビルだけでなく、⼀般家庭においても効果があります。各⾃治体の環境課などからも推奨されていますよ。
しかも、このグリーンカーテンはベランダ菜園にも応用可能で、ゴーヤやキュウリ、サヤエンドウ(高性品種)、ブラックベリーのようなつる性の作物だけでなく、トマトなど草丈が大きく伸びる作物で作れます。

昨年筆者は小玉サイズのネットメロン「ころたん」を育ててみました。「ころたん」が落ちないよう支えるためのハンモックを作ったり、竹串で絵を描いたり楽しんで収穫することができました。涼しくて、おいしくて、しかも心もほっこり。

▼ベランダ菜園で育てた「ころたん」のことならこちらをご覧ください。


お庭や畑で本格的に家庭菜園

お庭や畑で家庭菜園
出典:Pixabay
本気の備蓄を考えるなら、やはり畑栽培です。頻繁に手入れしなくても、すくすく育ってくれるジャガイモやタマネギ、ニンニク、サツマイモなどがおすすめです。

筆者も実践!備蓄におすすめの作物

筆者も春夏栽培では定番のジャガイモやサツマイモのほかに、ヤーコンやショウガ、ミョウガなども手がかからないので育てています。秋冬栽培ではジャガイモのほかに、タマネギとニンニクは必ず育てます。周年通して栽培するのは、アサツキやワケギなどの葉ネギとニラがおすすめです。

特におすすめなのが葉ネギ!

その中でも葉ネギは年を追うごとに分球して増えてくれるだけでなく、イチゴなど多くの作物の病害虫を防ぐコンパニオンプランツとしても大変優秀な作物です。筆者のイチゴも今年はネギと混植して育てているせいか、イチゴがかかりやすいうどんこ病にもかからず真っ赤に完熟して甘酸っぱい味を堪能させてもらいました。

▼市民農園のことならこちらをご覧ください。

▼ジャガイモなどの育て方ならこちらをご覧ください。

おしゃれなポタジェガーデン

お庭や畑でレイズドベッドをDIYおしゃれな家庭菜園に
出典:Pixabay
お庭で家庭菜園を始めるなら、ガーデニングとしてもおしゃれに楽しみたいですね。レイズドベッドはおしゃれなだけでなく、高さがあって作業がしやすいのでおすすめです。

▼レイズドベッドのことならこちらをご覧ください。

セカンドハウス付きの農園

ドイツでは、「クラインガルテン(小さな庭という意味)」といって、週末にセカンドハウスのような場所で家庭菜園を楽しむ文化があります。
発祥の要因となった背景には、19世紀後半のドイツの過酷な労働環境があります。健康被害が多く出た工場労働者と彼らの貧しい家族のために、このクラインガルテンは食物の自給や健康回復、子ども達が自然に触れられる場所として広まりました。
このような農園システムはドイツ以外にもあり、ロシアでは「ダーチャ」、デンマークでは「コロニヘーヴ」、イギリスでは「アロットメントガーデン」と呼ばれる小屋付きの市民農園があり、現在は作物だけでなく、果樹や樹木、美しい花々も育てられ、都会で暮らす人の緑のオアシスのような役割も果たしています。

▼クラインガルテンのことならこちらをご覧ください。

自分に合った「家庭菜園のカタチ」

家庭菜園で栽培している真っ赤に完熟したイチゴ
撮影:AGRI PICK編集部
自分に合った「家庭菜園のカタチ」を見つけることはできましたか?
家庭菜園はいつでも始めることができるので「思い立ったが吉日」の精神でチャレンジしてみてください。1粒種をまいてみれば、芽が出る楽しみ、育つ楽しみ、収穫できる楽しみと、未来に向けでどんどん楽しくなっていきます。
例え失敗したとしても、また始めればいいのです。人間関係でも合う合わないがあるように、植物とも相性があります。運命の植物に出合うために、1粒の種まきから始めてみましょう。

▼家庭菜園初心者さんにおすすめの作物のことならこちらをご覧ください。

「備える家庭菜園」で楽しみながらローリングストック!

レタスなどベジトラグで育てる家庭菜園
撮影:AGRI PICK編集部
どんなカタチの家庭菜園を選んでも、新鮮な野菜やハーブを収穫することができます。収穫後は葉物野菜は畑のように「立てて」保存するなど、その野菜に合った方法で長く保存しましょう。
新型コロナウイルス以降の新しい生活様式として「使いながら備蓄するローリングストック」に「楽しみながら備える家庭菜園」をプラスしてみませんか。

表示中の記事: 1/3ページ中

RECOMMENDSおすすめ

SERIALIZATION連載

  • 農業失くして持続可能な社会なし
  • 農業失くして持続可能な社会なし
  • 農業失くして持続可能な社会なし
  • 農業失くして持続可能な社会なし
  • 農業失くして持続可能な社会なし
  • 農業失くして持続可能な社会なし
  • 農業失くして持続可能な社会なし
  • 収量アップの秘訣
この記事の筆者:
sana

農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。

育て方・病害虫を一発検索

農業・ガーデニング・園芸・家庭菜園マガジン[AGRI PICK] > 暮らし > 家庭菜園で野菜を育てながら備蓄するローリングストック!