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【プロの菜園家に聞いた!】木酢液の効果と使い方を徹底解説!!


木酢液は、農業や園芸シーンでのアブラムシなどの虫除け、病害予防、植物の活力アップ、土壌改善効果が高くおすすめです!この記事では、菜園家の福田先生監修のもと、木酢液の効能や用途別の使い方、作り方(希釈方法)なども解説します。
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木酢液を植物に散布する

出典:PIXTA
作物の虫除けや畑の殺菌など、木酢液はとても多用途な天然由来のエキスです。肥料でも農薬でもなく、自然の力で植物を育てることができるので、「できるだけ化成肥料や殺虫剤を使いたくない」という方におすすめ!主に農業・畜産などの分野で活躍している木酢液ですが、ここでは園芸での利用シーンを中心に、木酢液の効果と使い方について紹介します。

家庭菜園のプロ︕福⽥俊先⽣に木酢液についてうかがいました

福田先生
画像提供:福田俊
東京農工大学農学部農学科卒。菜園家。ブルーベリー研究家。「どうすればおいしい野菜がたくさん採れるか」「いかにラクで楽しい野菜づくりができるか」を追求し、「フクダ流」自然農的有機栽培を実践。16平米という限られたスペースの市民農園で、年間50品目以上の野菜を有機・無農薬で栽培しています。監修を務めた家庭菜園誌や著書も多数。

関連サイト
HP:http://www.fukuberry.com/
Youtube:https://www.youtube.com/user/f104ryo/featured
Instagram:https://www.instagram.com/fukuberry104/?hl=ja
Twitter:https://twitter.com/29da104
facebook:https://www.facebook.com/toshi.fukuda.73

著書
『市民農園1区画で年間50品目の野菜を育てる本』(学研プラス)
『フクダ流家庭菜園術』(誠文堂新光社)
『福田さんのラクラク大収穫!野菜づくり』(学研パブリッシング)

木酢液とは?

木炭を作るときに発生する煙を冷やして木酢液を作る
出典:Pixabay
木酢液(もくさくえき)は、木材などの植物原料を加熱して出た煙を冷却して得られる水溶液です。3カ月以上静置し、上部の油分と下部のタール分を除去した後、製品として販売されます。木の有効成分が凝縮されていて、家庭菜園やガーデニング、農業では作物の品質向上、虫の防除などに使われます。

木酢液として認められる基準

平成17年2月から「木竹酢液認証制度」により、pHや比重などの品質、製造装置、精製方法などの規格が定められました。詳しい木酢液の規格は下記のページで確認できます。
木酢液・竹酢液の規格

原料

広葉樹(ナラ、クヌギ、ブナ、カシ、シイなど)、針葉樹(スギ、ヒノキ、マツ、ツガなど)、いろいろな木材が使用されますが、廃材や防腐・防虫処理された木材は基本的に原料として使用できないルールになっています。

木酢液の色・匂い

赤褐色、または黄褐色をしています。匂いは焦げたような感じで、「薫製(くんせい)の香り」とも例えられます。

木酢液の作り方|手作りは可能?

木酢液の製造工程
図:AGRI PICK編集部
木酢液の作り方は上の図の通り。木炭などの木材の加工品を製造する際に出た、排煙を冷却して得られます。冷却された水溶液は3カ月以上放置され、上層の油分と下層の木タールを除いた中層が木酢液となります。
手作りも不可能ではないですが、製造にかなりの手間と歳月を要するため、現実的ではないでしょう。

木酢液の用途とその効果|農業・消臭・家畜に

木酢液の用途は実にさまざま。用途を知って、いろいろな作業に活用してみてくださいね。

虫よけ(自然農薬)として活用

木酢液で害虫予防
出典:Pixabay
農業や家庭菜園、ガーデニングとしては主に「虫よけ」として利用されることが多いです。主にカメムシやハエの防除に役立つとされています。

福田先生のワンポイントレッスン
木酢液は虫よけ目的に使われることが多いのですが、私はその原料に木酢液や竹酢液も虫よけ効果があるということで足していました。また、自然微生物をとる方法の一つで「天恵緑汁」という植物活性液を毎年作りますが、それと一緒に木酢液も混合で散水していました。有用微生物の増殖を促す効果があったと思っています。


土壌消毒

出典:写真AC
木酢液は土壌に散布後7日程度で分解される性質があるため、土づくり前の消毒剤として利用されることもあります。

土壌中の有用微生物の増殖を促す

木酢液を土壌表面に散布することにより、有用微生物が増殖。結果、病原菌が減り、作物の病気のリスクを下げることができます。

植物の芽および根の成長促進

作物や芝に、低濃度の木酢液を与えると、根や芽の成長を促すことができます。

作物のミネラルの吸収を助ける

木酢液に含まれる、酢酸やプロピオン酸類の有機酸などの成分は、土壌中のミネラルを吸収しやすい形に変える力を持っています。結果、ミネラルが作物へ吸収されやすくなります。

堆肥づくりに活用する

木酢液には堆肥を腐らせたり熟したりする作用があり、牛糞や豚糞をつくるのに最適です。

動物よけの効果は無い!?

出典:写真AC
木酢液を薄めて動物を避けたいところにまいたり、吹きつけたりすると動物よけになるという話もありますがうわさに過ぎません。匂いを嫌って寄り付かない動物もいるかもしれませんが、木酢液だけに頼るのは危険と言えます。

福田先生のワンポイントレッスン
私の経験上、動物よけになるかは定かではありません。モグラなどは減ったことがありませんし、猫よけにもなりません。


福田先生は今、木酢液を使っていません!

撮影:福田俊
木酢液の用途を解説しましたが、実は福田先生自身は今木酢液を使用することはないそう。その理由をうかがいました。

福田先生のワンポイントレッスン
最初のころといまでは畑の微生物は見えませんが善玉菌優勢環境ができあがっていると思います。そのためボカシ肥料などの量も減り、ほとんど無肥料の場合もあるくらいです。すなわち木酢液に頼らなくても土の環境が整ったと思うからです。

このように、土壌環境が整えばいずれは自然農薬すら必要なくなる畑を目指せるそう。もちろんすぐに達成できるものではないので、まずは木酢液などの自然農薬で豊かな土づくりをしていきたいですね。

木酢液の使い方を用途別に紹介

ここからは木酢液の具体的な使い方を解説します!福田先生直伝の使用方法は必見です!!

福田先生直伝!病害虫対策に使う

ストチュー+木酢液の材料 撮影:福田俊
木酢液は原液を500~1000倍に薄めて、そのまま使うことも可能ですが、おすすめはほかの自然農薬と混ぜる方法!福田先生はストチュー(お酢+焼酎)の中に混ぜて使っていたのだとか。また、福田先生は、自然微生物を取り込むために「天恵緑汁」を毎年作られますが、そこに混ぜて使っていたこともあるそうですよ。

希釈の割合

「ストチュー」「天恵緑汁」どちらの場合も、300~500倍程度に薄めて使います。

散布方法

撮影:福田俊
生育中の野菜にジョウロで上から散水するか、噴霧器で葉裏までかけます。

福田先生のワンポイントレッスン
使うときはあまり濃くし過ぎないことをおすすめします。


ストチューについてはこちらの記事で詳しく解説!


土壌の消毒

木酢液を使ったら土の中から元気な芽が
出典:Pixabay

希釈の割合

20~30倍の高濃度希釈液を使用。

散布の仕方

1平方メートル当たり5~6リットルを土壌の表面に散布または潅注する。

注意点

木酢液が分解するまでに日数を要するので、散布後7~10日は植え付けを行わない。

有用微生物の増殖を促す

希釈の割合

200~400倍

散布の仕方

土壌表面に散布する。有用微生物が増加し病原菌が減少し、病気の頻度が下がります。

木酢液を購入する際のポイント

原料の木材
出典:PIXTA
木酢液は色々な企業やメーカーが製造・販売しています。種類が多いため違いもわかりづらいので選ぶのも難しいです。一番安心なのが「木竹酢液認証協議会」が認証した製品を選ぶこと。認証は、公的機関によって、原材料・製造方法・分析値・装置や容器の材質などの調査が行われ、その報告とサンプルを元に、認証調査委員会にて適合性が判断され与えられるものです。

木竹酢液認証協議会が認証!おすすめの木酢液

スポイトつきで使いやすい

平成29年1月に認証を取得した、安心の木酢液。原料は岩手県にある伐採後2カ月以内のナラ・コナラの木を使用し、全て国内で製造しています。貯蔵には半年の時間をかけ、中間層をさらにろ過することで、クリーンな仕上がりになっているのが特徴です。
ITEM
日野薬品工業 厳選 木酢液
・内容量:480ml

濃厚で品質の良い木酢液でした。香りも良かったです。極少量ずつ混ぜて水やりじに撒いてました。木酢液を僅かでも撒くとヤブカがあまりよらなくなります。植物も元気になり、雨が多い時期も黴が生えにくいです。大活躍でした。


自然農薬の大手メーカーが製造

トヨチューは木酢液や竹酢液を数多く販売するメーカー。もちろん認証も受けており、質の高い木酢液が自慢です。丁寧に磨かれた木酢液は、Amazonなどの通販サイトでも評判がよく人気の製品です。
ITEM
トヨチュー 木酢原液
・内容量:1L

植物に水やりと同時に散布しました。香りが良くタール分が殆ど無くて良い商品でした。害虫避けに希釈したニームに混ぜることもありました。又、コンポストにも時々撒いて腐敗臭を防ぎ上手く発酵させられました。


農家におすすめ!大容量サイズ

大規模な家庭菜園、農家におすすめの10Lサイズ。こちらももちろん認証を取得しています。こちらの原料は主にカシの木を使用し、色は茶系です。
ITEM
熊本県産 木酢液
・内容量:10L

木酢液の保管方法

ガレージ
出典:PIXTA
常温で日の当たらない暗い場所で保管します。ガレージや倉庫などがおすすめです。

木酢液のお悩みQ&A|イボに効く?廃棄は??

出典:写真AC
木酢液に関してよく挙げられる疑問について調べました!

Q. イボに効くってホント?

A. イボに対する効果は通販のレビューやメディアで取り上げられることがありますが、木竹酢液認証協議会が認証している木酢液は「農業用資材としての用途」に限られており、医療品として販売はしていません。「イボに効く」などと銘打って販売している製品は、協議会が認定していない製品の可能性もあるので、使用は控え、皮膚科でちゃんと治療を受けることがおすすめです。

Q. 木酢液を廃棄したい!どうすればいい?

A. 木酢液は分解能力が高いので、土壌中で10日ほどで分解されます。10kg程度でしたら、植物の根に触れない場所の土壌に埋めましょう。

Q. 発がん性物質は入ってる?

A. 構成成分は製品によって異なるため、一概には言えません。認証品の成分は木酢液協会のホームページに記載されているので参考にしてみてください。認証制度の規格に沿って製造されたものであれば、安心して使用できるそうです。
参考:日本木酢液協会HP「木酢液・竹酢液Q&A | 日本木酢液協会

Q. 木酢液の使用にデメリットはある?

A. 木酢液の独特の匂いは、使用するうえでデメリットになるかもしれません。また木酢液は、適した濃度で使用しないと十分な効果が得られなかったり、逆に濃過ぎると植物に悪影響を与えたりする場合があります。

Q. 木酢液はダイソーにも売っている?

100均ストアのダイソーでも、園芸用品として木酢液を販売しています。ただ、時期や店舗によって取り扱い状況は変わるようです。

Q. 木酢液は自分で作れる?作り方は??

木酢液を作るには、多くの手間と時間がかかります。作り方は、木材を炭焼き釜などで焼き、出てきた煙をパイプに通して集め、冷却することで水溶液にします。水溶液は3~6カ月ほど冷暗所で静置し、余分な油分とタール分を取り除いて木酢液だけを抽出します。
このように、木酢液を自作するのはとても大変。一般家庭であれば、市販品の購入をおすすめします。

常備しておくと便利♪木酢液を活用しよう

土壌改良や病害虫対策まで、さまざまな農業用途に使える木酢液。常備しておくと便利な天然由来の木酢液を活用した農業や家庭菜園にチャレンジしてみてくださいね!

紹介されたアイテム

日野薬品工業 厳選 木酢液
トヨチュー 木酢原液
熊本県産 木酢液
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この記事の筆者:
AGRI PICK 編集部

AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。

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