【工進・ホンダ・マキタなど】エンジンポンプの使い方・選び方｜中古情報も

エンジンポンプは、水を汲み上げ、ポンプの力で散水できる便利な機械です。小さな家庭菜園であれば、ポリタンクに水を汲んで、ジョウロで水やりも可能ですが、畑が大きくなってくるとそれではとても間に合いません。特に大きく差が開くのは種まきのとき。雨が降るのを待っていたのでは、出荷時期がどんどん遅れてしまいます。ぜひ、エンジンポンプを導入して、安定した野菜作りを目指してくださいね。

エンジンポンプって何？その構造は

エンジンポンプとは

エンジンポンプとは、エンジンでポンプを動かし、水の吸水や排水を行う機械のことです。エンジンでインペラを回すことで、電気式よりも強い水圧を生み出すため、低い場所からの給水や遠くからの給水も可能です。エンジンポンプがあれば、水道や井戸がない場所でも、タンクに汲み上げた水を使って野菜や花に水やりができます。

エンジンポンプの仕組み＆構造

エンジンポンプは、水源から水を吸い上げるサクションホース、水を吐き出す送水ホース、そしてポンプケースとそれを動かすエンジンで構成されています。水を送り出すのは、ポンプケースの中のインペラです。

エンジンポンプの選び方のコツ（1）基本性能で選ぶ

エンジンポンプを選ぶときは、まず基本性能を基準にしましょう。見るべきポイントは3カ所。ポンプで送り出す水量と水を汲み上げられる高さ、吐出口の大きさです。この3点がどれだけ水を汲み上げられるかに関わるので、自分にはどれだけの性能が必要か考えながら読み進めてくださいね。

吐出量「ポンプで送り出す水量」

エンジンポンプの「吐出量」は、ポンプが水を吸い込んだり、送り出したりできる水量を表します。吐出量は後述する揚程と反比例のような関係にあるのが特徴です。ほとんどのエンジンポンプで吐出量を増やせば揚程は下がり、揚程を上げれば吐出量が減ります。各製品の性能曲線グラフで確認しましょう。

全揚程「水を汲み上げる高さ」

エンジンポンプの「全揚程」は、水源から垂直に何m汲み上げることができるかを示したものです。全揚程30mのポンプであれば、水源から30mの高さまで組み上げられます。同じ量の水を動かすとき、水平方向には垂直方向の10分の1の力で動かせるので、全揚程30mのポンプは水平なら300m先まで送水できます。例えば、水面からポンプまでの距離が3m、ポンプから垂直に4m、水平に50mのところに水を運ぶ場合の全揚程は以下の計算で求められます。

例）水面からポンプまでの距離が3m、ポンプから垂直に4m、水平に50mのところに水を運びたい場合に必要な全揚程＝3 + 4 + 50／10=12m

上の計算のように、上のケースでは全揚程12m以上のエンジンポンプが必要だとわかります。

吐出口径とは

吐出口径が小さいほど吐出量は少なく、水圧が高くなります。反対に、吐出口径が大きいほど吐出量は多く、水圧が低くなります。そのため農機の洗浄や洗車、散水など、水圧が必要な作業には、吐出口径が小さいものを選びましょう。水田や畑の灌水には、大量の水が必要ですし、高い水圧は必要ないので、吐出口径が大きなものを選ぶのがおすすめです。

エンジンポンプの選び方のコツ（2）用途で選ぶ

エンジンポンプは用途によっても、変わってきます。特定の用途に特化した製品もあるので、自分の用途に合わせて選びましょう。

田んぼや畑への灌水

田畑への灌水に使うなら、吐出量が大きく、吐出口径が大きいものを選びましょう。吐出口径が40mm以上のものが適しています。田畑への灌水には膨大な量の水が必要ですし、高い水圧は不要だからです。水源から田畑まで高低差があまりないのなら、全揚程の数字を気にする必要はありません。

スプリンクラーでの散水

スプリンクラーでの散水に使うなら、全揚程が40m以上ある高圧ポンプを選びましょう。散水には高い水圧を必要とするからです。高い水圧に耐えられる耐圧性のホースが適しています。

用水路からの水の汲み上げや排水

用水路での給排水には、多少の固形物が含まれている水を汲み上げるのに特化したエンジンポンプを使いましょう。海水を組み上げるのに適した製品もあります。

エンジンポンプの選び方のコツ（3）エンジン形式で選ぶ

軽量、コンパクトさを求めるなら2サイクルのエンジンポンプがおすすめです。女性でも運べ、4サイクルよりも比較的安価だからです。部品数が少なく比較的単純な構造のため維持管理がしやすく、故障が少ないのも特徴。デメリットとしては音が大きいことが挙げられます。

一方、4サイクルエンジンは２サイクルと比べると静かで、パワーが強く、燃費効率が良いのが特徴です。燃料は無鉛ガソリンのみのため、環境への配慮から4サイクルを選ぶ方も少なくありません。始動がしやすいのもメリットでしょう。

エンジンポンプの選び方のコツ（4）工進・ホンダ…などメーカーで選ぶ

エンジンポンプを選ぶ際は、メーカーも重要な選択肢になるでしょう。長く使い続けるにあたって、ポンプメーカーの工進やツルミポンプの他に、三菱、ホンダ、マキタなどの大手機械メーカーもエンジンポンプを製作しています。

サポート体制も踏まえて選ぶと良いですよ。なお、買い替えでも同じメーカーの機種を選ぶ人が多いようです。

エンジンポンプの使い方

STEP1. 燃料タンクに燃料を入れる

まず、サイクルと呼ばれる部位に混合油、4サイクルには無鉛ガソリンを入れます。

STEP2. ポンプに呼び水を入れる

じょうろなどで呼び水口からポンプに清水を入れます。この呼び水を入れずに電源を入れて始動させると水を吸わないばかりでなく、メカニカルシールと呼ばれる部位が傷み、水漏れ故障の原因となるので注意しましょう。

STEP3. 吸入ホース先端のストレーナーを水中に設置する

水中に浮かせるように設置します。用水路や池などから水を吸引する際、水底の泥や砂などを一緒に吸い込まないようにするためです。

STEP4. 吐出ホース先端に障害物などがないことを確認して、エンジンを始動する

送水ホースが暴れて人やペットなどに当たるとケガをする危険性があります。先端付近に人がいないことを確認してからエンジンを始動させましょう。

エンジンポンプの人気おすすめ機種ランキング

エンジンポンプのおすすめ人気機種をランキング形式で3位まで紹介します。やはり安定の工進に丸山製作所もランク入りしています。軽量のコンパクトモデルやコスパの良い商品が人気という傾向があります。

1位 工進 2サイクルエンジン ハイデルスポンプ25mm KM-25S

2位 丸山製作所 エンジンポンプ BP2520A

3位 工進 超軽量4サイクルエンジン ハイデルスポンプ（25mm）SEV-25F

エンジンポンプの用途別おすすめ機種【田んぼや畑への灌水に】

田んぼや畑での灌水に使えるエンジンポンプを紹介します。吐出量が多く、吐出口径が大きいものが向いていますよ。

工進 ハイデルスエンジンポンプ SEV-80X

工進 4サイクル エンジンポンプ SEM-50WGB

丸山製作所 ポンプ MLP5140E 349772

工進 4サイクル エンジンポンプ ハイデルスポンプ KH-50P 50mm

エンジンポンプの用途別おすすめ機種【高圧でスプリンクラーでの散水に最適】

畑でスプリンクラーによる散水にもってこいのエンジンポンプを3つ紹介します。全揚程を確認して、何mまで送水できるかを確認しておきましょう。

工進 エンジンポンプ SEH-50V 4サイクルエンジン

ホンダ エンジンポンプ WH20XT

丸山製作所 ポンプ MLP5140E 349772

エンジンポンプの用途別おすすめ機種【用水路からの水の汲み上げや排水に】

用水路からの組み上げや排水に使えるエンジンポンプです。多少の土砂が混じっていても使えます。

ツルミポンプ 排水用エンジンポンプLA型 LA2-100R

エンジンポンプの用途別おすすめ機種【海水OKのハイグレードモデル】

海水の汲み上げに使えるエンジンポンプです。海水の塩分による錆に注意しましょう。

高性能樹脂性エンジンポンプ PGH-50

ホースをつないでこう使う！おすすめ活用術

ここからは、農業やガーデニングのさまざまなシーンにあったエンジンポンプとおすすめ活用術をご紹介します。

種まきや定植後の灌水に！手軽に使える2サイクルエンジンポンプ

2サイクルエンジンポンプは取り回ししやすく、便利です。ホースリールとつなげて散水することで、種の発芽や苗の活着率向上につながります。

大雨冠水時の強制排水にも！強力4サイクルエンジンポンプ

畑に水を運んで散水！軽トラにも載る重量とサイズのタンク

ポンプとつないでらくらく水やり。耐圧散水ホース・リール

透明サクションホースで一目でつまりチェック

長距離で使うなら、耐久性・屈曲性にすぐれたサクションホース

エンジンがかからない！水があがらない！修理に出す前にここをチェック

水が上がらない（水が出ない）

1. 呼び水を入れていない

エンジンポンプは、ポンプ内を真空にしないと水を吸い上げないため、呼び水口から清水を入れてポンプ内を満水にします。

2. パッキンが正しく装着できていない

正しい口径のパッキンを装着することが重要です。装着が緩かったり、パッキン本体の摩耗などで亀裂が入っていたりすると、そこから空気が入り吸水できなくなることがあるので、定期的に確認しておきましょう。

3. ストレーナーが、水面上に出ている

水を吸う部分（ストレーナー）は水面より30㎝ほど下が好ましいです。サクションホースが固いと先端が水面から浮き出てしまうことがあるため、事前に柔らかくしておきましょう。

エンジンがかからない

サイクルエンジンは、半アクセルでリコイルスターターを引きましょう。寒い時期はチョークを閉じて始動します。プラグの汚れを確認し、必要に応じて清掃または交換をしましょう。リコイルスターターが引けない場合は、インペラに石などの異物が詰まっている可能性があります。説明書記載の方法に従ってインペラから異物を取り除きます。

4サイクルエンジンはオイル交換も忘れずに

定期的にエンジンオイルキャップを外し、規定量が入っているか確認しておきましょう。もしオイルが減っている場合は補充し、汚れがひどい場合は交換しましょう。

エンジンポンプは中古でお手軽に買うことも可能

新品は必要ないという方は、フリマサイトで中古品を探すのがおすすめです。 大手のヤフオク！には多くのエンジンポンプが売りに出されています。売主との交渉次第では、半額以下になることもあるので、チェックしてみてくださいね。

ヤフオク！「エンジンポンプ」

エンジンポンプを活用して、生産性アップを目指そう！

たとえ水の便が悪い畑であっても、雨を待っていては計画通りの生産・出荷ができません。100平米以上になると、ジョウロでの作業では効率が非常に悪くなるため、エンジンポンプがおすすめです。エンジンポンプを活用すれば、天気に左右されることなく計画通りに播種、育苗、定植などの管理が可能になり、生産性アップにつながりますよ。