ベランダ＆プランターでも育てられる！家庭菜園で大玉・小玉スイカを栽培する方法とポイントを徹底解説

夏の代表的な作物であるスイカ。暑い時期に、家庭菜園で収穫した完熟のスイカをキンキンに冷やして味わってみたいですよね。初心者には少し難易度の高い野菜ですが、プランターでも育てられる方法をプランター野菜専門家に伺いました。苗の植え付け、水やり、つるの伸ばし方、収穫時期などのポイントを解説。スイカ栽培に必要なプランターのサイズや深さ、おすすめの品種も要チェックですよ。

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スイカ栽培の監修は、プランター野菜栽培家の安藤康夫さん

プランター野菜栽培家。自宅のベランダと屋上のプランターでさまざまな野菜や果樹を栽培し、50品目達成。栽培の様子や採れたて野菜を使った料理などを、「Hanna-papaの菜園日記」にて発信しています。
現在は、プランターの限られた土の量で、どれだけ高品質な野菜が育てられるかを探求中！

関連サイト
Facebook　「Hanna-papaの菜園日記」
2019年5月以前のブログ　「Hanna-papaの菜園日記 2」
著書
『プランターで有機栽培1』（農文協）
『プランターで有機栽培2』（農文協）

家庭菜園でのスイカ栽培の時期やプランターの置き場所

プランターでのスイカの植え付けや収穫の時期

・植え付け：5月中旬
・収穫：8月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖（中間）地基準

スイカ栽培に適した温度やプランターの置き場所

スイカの栽培適温は25〜30℃。
日当たりと風通しの良いところに、プランターを置いて育てましょう。

安藤さん直伝！プランターでのスイカ栽培のポイント3つ

スイカ栽培をプランターで成功させるために、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

Point1. プランターでのスイカ栽培に雨除けは必須

スイカは株元がぬれたり、水はけが悪かったりするのに弱く、すぐに疫病を引き起こし枯れてしまいます。また、実がなってから雨が当たると、せっかくできた実が割れてしまうことも。苗の植え付けから収穫まで雨よけをしっかりして、過湿にならないように注意しましょう。

Point2. 小玉スイカは空中栽培、大玉スイカは地ばい栽培で

小玉スイカはネットでの空中栽培で、大玉スイカは地面をはわせるように育てます。風などでスイカの茎や葉が動くと、それがストレスになり育ちにくくなります。つるから出る巻きひげが、ネットや地面をしっかりつかめるような栽培環境を作りましょう。

Point3. 確実にスイカを実らせるために人工受粉する

雌花と雄花が咲くスイカ。虫が受粉してくれることもありますが、確実に実をならせるためには、人の手で雄花の花粉を雌花に受粉させましょう。

育てるなら小玉？大玉？プランター栽培におすすめのスイカの品種

小さいスイカや大きいスイカなど、さまざまな品種が販売されていますが、空中栽培するなら実が軽い小玉がおすすめです。地ばいさせるスペースがあるのならば、大玉系の品種にチャレンジしても良いでしょう。土の中の栄養が限られるプランターでのスイカ栽培では、1株に1つの実をならせるのが基本です。収穫したい個数に合わせて、育てる株数を決めましょう。

スイカは、接ぎ木苗から育てよう！

市販の苗は、ユウガオやカボチャなどの苗木に接ぎ木をして、病気に強くしています。もちろん、スイカの種をまいて苗を育てることはできますが、温度管理などが難しいこともあります。初心者は育てやすい苗から栽培を始めるのがいいでしょう。

おすすめの小玉系スイカ「紅小玉」

大玉系にチャレンジするなら「紅まくら」

スイカのプランター栽培で事前に準備するもの｜プランターの大きさ、培養土、鉢底石など

スイカ栽培に必要なプランターの大きさ・深さの目安

スイカをはじめとするウリ科の植物は、根を浅く広く張ります。小玉系の品種なら45cm幅程度のワイドプランターに、大玉系の品種なら75cm幅程度、1株を植えると良いでしょう。

小玉スイカの栽培におすすめのプランター

大玉スイカの栽培におすすめのプランター

スイカのプランター栽培に適した土

スイカのプランター栽培では、一般的に販売されている野菜用培養土を使用しましょう。新しい野菜用培養土を使うのならば元肥はいりません。
鉢底石として赤玉土の大粒を入れ、水はけを良くしましょう。

スイカのプランター栽培におすすめの土

プランターの底に入れる赤玉土や鉢底石の関連リンクはこちら

プランターでのスイカ栽培に追肥は必須

つるがどんどん伸びて、大きい実をつけるスイカ。プランターでのスイカ栽培では、生長に合わせて追肥に油かすを与えるのが大切です。

スイカ栽培におすすめの油かす

プランターでできる！スイカの育て方｜植え方、水やり、人工受粉の方法など

スイカの基本の栽培手順から、安藤さんに聞いた空中栽培や地ばい栽培のコツも合わせて紹介します。

Step1. プランター栽培でのスイカの植え付け方

1. プランターの底に鉢底石として、赤玉大粒を5cm程度敷きます。
2. プランターの8分目の高さまで、野菜用培養土を入れます。
3. プランターの真ん中に穴をあけ、苗を植え付けます。プランターの土と苗の土の表面が同じ高さになるようにします。スイカの根は傷みやすいので、なるだけ土をほぐさないように植え付けましょう。
4. 植え付けたら、たっぷりと水をやります。

Step2. プランターの土が乾いたら、たっぷりと水やり

スイカのプランター栽培では、土が乾いたらたっぷりと水をやります。盛夏には葉から水分が出て行く蒸散が激しくなるので、朝夕の2回の水やりを忘れずにしましょう。

Step3. スイカの空中栽培、地ばい栽培でのつるの伸ばし方

空中栽培でスイカを育てる場合｜ベランダの手すりや支柱にネットを固定

小玉でも重みのある実がなるスイカ。空中栽培するには、ベランダの柵・手すり・太めの安定した支柱などに、ネットを縛りつけて固定しましょう。つるが自然にネットをはうまでは、ひもなどで誘引します。ネットをはいはじめ、つるが落ちてこなければ、伸びるままにしておいて大丈夫です。

地ばい栽培でスイカを育てる場合｜人工芝を敷くのが安藤流！

プランター脇にスペースがある場合は、つるを地面にはわせていく地ばい栽培がおすすめ。つるや実の下に、畑では敷きわらを敷くのが一般的ですが、安藤さんのおすすめは人工芝にはわせる方法です。

Step4. 花が咲いたら、人工受粉をしてしっかりと実をつけよう

1. 6月下旬から7月上旬に花が咲きます。最初の雌花が咲いた朝に、雄花を摘み取り、雌花に花粉をくっつけて人工受粉させます。
2. 受粉が成功すると、数日で上を向いていた花が下を向いて、雌花の根元にスイカの実ができていきます。
3. スイカができてきたら、その1つの実に栄養を集中させるために、2番目以降に咲いた雌花は摘花してしまいましょう。

Step5. 甘いスイカにするために、忘れずに追肥しよう

受粉後は、一週間に一度、リン酸入りの油かすを一握りくらい、株元の茎の周りに与えます。つるに直接つかないように気をつけましょう。

Step6. スイカの実が大きくなってきたら、ネットで支えよう

空中栽培ではスイカの実が10cmを超えてきたら、ネットやひもをハンモック状にして、実を支えましょう。

Step7. プランター栽培で摘心は必要？わき芽はどうする？

プランターでのスイカ栽培では、栄養を作る葉の数をなるべく増やしたいので、摘心やわき芽かきの必要はありません。ただし、つるが重なると蒸れの原因になり、日に当たらない葉も出てきてしまうので、つるや葉が密集しないようにうまく誘引していきましょう。

Step8. 完熟したらお待ちかねの収穫！

スイカの収穫は、人工受粉した日から30日程度。実に一番近い巻きづるが枯れたら、完熟のサインともいわれています。
ただし、熟し始めた実が雨に当たると割れてしまうことも。雨予報があったら、やや早めでも収穫するのがいいかもしれません。

Step9. 収穫後にもう1回「うらなり」が採れることがある！

土の量が限られるプランター栽培のスイカでは、1株から2玉を同時に育てるのは難しいですが、株の栄養状態がいい場合、1つ目を収穫した後、再び花が咲き出し、小さめの実がもう1玉収穫できる場合があります。この実を「うらなり」と呼んでいます。収穫後に花が咲いたら、人工受粉して育ててみましょう。

スイカ栽培後のプランターは、秋野菜を育てるのに最適

スイカの収穫が終わったプランターの土は、少し手を加えると培養土として復活して秋野菜を育てられますよ！

1. プランターの土を出し、ふるいにかけて古い根を取り除き、赤玉大粒と土を分けます。
2. 分けた土に、元肥として腐葉土を10%程度混ぜ込めば、培養土のできあがりです。

スイカ栽培時の害虫・病気・鳥獣害とその対策

スイカに起こるトラブルは主に病気と鳥獣害の2つ。ウリハムシがやってきますが、スイカの葉は硬く、目立った被害をもたらしません。気になったら捕殺しましょう。

スイカのプランター栽培でおこる病気

乾燥地帯が原産であるスイカ。水分が多く過湿な状態で育てていると疫病になりやすく、すぐに腐って枯れてしまいます。疫病にかかったら対処法はないので、予防として雨除けを必ず設置し、水はけの良い状態を保つようにしましょう。

スイカを狙って鳥・獣もやってくる！

カラスには防鳥糸やCDなどの合わせ技で対策を

スイカの実が大きくなってくると、カラスが狙いにやってきます。防鳥糸を張ったり、不要なCDをつり下げるなどの対策を行いましょう。カラスは鳥よけグッズを見慣れてしまうと、気にせず寄ってくる事があります。鳥よけグッズをこまめに取り換えるのも有効な策ですよ。

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獣対策｜ハクビシン、ネズミ

また、果物が大好きなハクビシンや、なんでもかじってしまうネズミなど獣の被害が、街中でも多く報告されています。プランターの周りをきれいにして、隠れ家となる場所を減らし、実はネットで覆うなどの対策をしましょう。
▼絶対来てほしくない！ハクビシンやネズミの害を防ぐ方法はこちらをチェック

プランターで完熟スイカを栽培してみよう！

つるの伸ばし方が工夫のしどころで、作りがいのあるスイカ。家庭菜園に慣れてきたら挑戦してみたいですね。丹精を込めて育てたスイカを収穫できたときの喜びはひとしおですよ！

収穫したスイカは種や白い部分も余さず活用！