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6次産業化に活用できる公的支援とは?補助金で6次化を成功に導く方法【6次産業化の基礎知識No.3】


農業の6次産業化を考えているのなら、農林水産省の各種補助・支援事業を活用しましょう。多額の資金や専門知識が必要になる農業の6次産業化のハードルを下げてくれる、6次産業化プランナーや補助金、ファンドについてご紹介します。
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食事

出典:PIXTA
規格外や余剰分の農作物を活用して新しい事業を展開できれば、農家の増収につながります。自分自身で育てた作物の付加価値を高めるためにカフェやレストランを経営したり、加工品を製造・販売して多くの消費者に直接届けたいと考えている方もいるでしょう。そのために6次産業化に踏み切ろうと思っても、資金面から実現が難しいケースも少なくありません。
「資金があればアイデアを形にできるのに」と悩んでいるのなら、6次産業化を資金面から助けてくれる、各種補助・支援事業を活用してみましょう。

農林水産省の支援を受けるためには、総合事業化計画の認定が必要

ステップアップ
出典:写真AC
農林水産省が行う6次化の補助・支援を受けるためには、「総合化事業計画」の認定を受けて、認定事業者になる必要があります。

総合化事業計画とは生産から販売までを行う事業活動の計画

農林漁業者等が、新事業の創出等を促進し、経営改善を目的として農林水産物の生産、加工、販売を一体的に行う事業活動を、総合化事業といいます。事業計画には認定制度が設けられており、作成した総合化事業計画が農林水産大臣の認定を受けると、認定事業者となり、6次産業化プランナーによる販路開拓や加工技術の習得等にアドバイスを無料で受けられるほか、農業者向けの無利子資金の融資資金の償還期限及び据置期間の延長、施設整備に対する補助、農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)による出資を受けられるようになります。

認定事業者の条件

チェックリスト
出典:Pixabay
総合化事業計画の認定を受け、認定事業者となるためには、「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律(六次産業化・地産地消法)」に基づき、次の要件を満たしている必要があります。

【事業主体】農林漁業者であること(個人、法人、団体含む)
【事業内容】自ら生産した農林水産物を原料として用いた新商品の開発・生産、自ら生産した農林水産物を販売するための新たな方式の導入または販売方式の改善
【経営の改善】農林水産物および新商品の売上高が5年間で5%以上増加すること、農林漁業および関連事業の所得が、事業開始時から終了時までに向上し、黒字化を指標としていること
【計画期間】5年以内であること


6次産業化サポートセンターを活用しよう

しかし、六次産業化・地産地消法に基づいた要件をクリアして認定を受けるのは、一人では難しいものがあります。6次産業化に向けて各種サポートを受けたいのなら、認定事業者になるための事業計画づくりから支援してくれる、6次産業化サポートセンターを活用しましょう。

6次産業化サポートセンターは全国各地にあります。まずは最寄りのサポートセンターに、気軽に相談してみましょう。

6次産業化中央サポートセンター

6次産業化、まず何から始める?プランナーに相談してみよう!

握手するビジネスマン
出典:写真AC
6次産業化に踏み切りたいけれど、何から着手していいのかわからない。そんなときは無料で利用できる6次産業化プランナーに相談してみましょう。

6次産業化プランナーとは

6次産業化プランナーは、6次産業化に取り組む農林漁業者の相談に応じてアドバイスを行います。6次産業化サポートセンターから派遣され、相談料は無料です。

令和元年度6次産業化サポートセンター一覧(令和元年7月24日現在)|農林水産省


商品開発、販路開拓、加工用作物の導入費用を支援する交付金

お金と家
出典:Pixabay
新商品開発のために加工適性のある作物を導入する、試作品やパッケージデザインのための人件費、資材購入費、商談会等への出展費に対して、かかった費用の3分の2の補助が可能になります。

また、加工・販売施設の整備の支援策もあります。「六次産業化・地産地消法又は農商工等連携促進法」の認定を受けた農林漁業者が、制度資金等の融資を活用して加工施設や販売施設を整備した場合、かかった費用の10分の3〜2分の1の金額が交付されます。

農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)による出資

出典:写真AC
農林漁業者が主体となった6次産業化の取り組みに対して、出資による支援を行うのが株式会社農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)です。

農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)を活用するメリット

補助金や制度融資ではなく出資金を利用すると使途の自由度が高く、出資後にはファンドから6次化に向けたフォローも受けられます。

また、出資は融資とは異なります。出資を受けることで自己資金が充実し、金融機関からの融資が受けやすくなったり、取引先からの信用力の向上も見込めます。

日本政策金融公庫(JFC)の融資

電卓とお金と虫眼鏡
出典:Pixabay
そのほか、株式会社 日本政策金融公庫が扱う6次産業化向け農業者用融資もあります。

農業改良資金

六次産業化法に定める総合化事業計画書、農商工連携促進法にさだめる農商工等連携事業計画の認定を受けた中小企業者などが対象の融資です。個人は5千万円まで、法人は1億5千万円まで借り入れできます。返済期間は5年または12年以内、無利子の融資です。

スーパーL資金

認定農業者のみが利用できる融資です。6次産業化だけでなく、農地の取得や果樹・家畜の購入費、経営の安定化に向けた借り入れも可能です。返済期間は25年、かつ返済の据え置き期間が10年まで認められます。融資限度額は個人で3億円、法人で10億円まで。利率は0~0.10%と低金利なのが特徴です。


国の支援を受けつつ6次産業化を成功させよう

日本地図
出典:写真AC
農業の6次産業化を成功させるためには、いくつかのハードルを越えていく必要が出てくるでしょう。資金調達に労働力の確保、施設や設備の拡充に販路開拓など、やるべきことは数多くあります。

事業を確実に成功に導くために、時にはプロの意見を取り入れながら、各種支援を受けて着実に前進させていきましょう。

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この記事の筆者:
高橋 みゆき

北海道在住のフリーライター。北海道の畑作農家に生まれ、高校卒業後に農業協同組合に入組。JAでは貯金共済課の共済係として、窓口にて主に組合員の生命保険・損害保険の取り扱いをしていました。退組後、2013年まで酪農業に従事。現在はスマート農業に興味津々。テクノロジーを活用した農業についてお伝えしていければと思います。

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