一方、アクアポニックスでは魚に餌をやるだけで、植物の肥料はいりません。また、水槽にたまる汚れが浄化されるため、水槽のためのメンテナンスも楽になります。
そんなアクアポニックスを、キットを使わずに立ち上げてみました!
アクアポニックスのしくみは?
アクアポニックスの構成要素は魚、植物、バクテリアの巣となるハイドロボールの3つ。まず、魚の食べ残しやふんをバクテリアが分解し、硝酸塩という植物を育てるための物質を作ります。植物はその硝酸塩を使って葉を伸ばし、同時に硝酸塩を消費することで水をきれいにします。
1. 水槽のセット
まずは水槽を用意。初心者ほど大きなものが失敗しにくいといわれています。魚の種類も考慮して選びましょう。今回、魚の種類は日本の淡水魚にしますが、海水でなければ、熱帯魚でも金魚でも何でもOKです。底砂を入れる
下に砂をまきます。砂は敷かなくてもかまいませんが、バクテリアが増殖するところが増えるので、水質が安定しやすいです。また、砂に潜るタイプの魚がいる場合は、魚が落ち着くので敷きましょう。アクアポニックスの場合、浅めがいいでしょう。1~5cmほどの厚さに敷きます。
石や流木でディスプレイ・隠れ家を作る
なくてもかまいませんが、石や流木をセットすると見た目が良くなり、また魚の隠れ家にもなります。水を入れる
すべてのセットが終わったら静かに水を入れます。水はカルキ抜きをしたものを使いましょう。カルキ抜き剤を使うか、汲み置きをして半日~数日置いておくとカルキ抜きができます。2. 植物のセット
ろ材兼培地のセット
上部フィルターの底にスポンジを入れ、その上に軽く洗ったハイドロボールを敷き詰めます。ここが植物が根を張るところになります。また、水槽の汚れをろ過して綺麗にします。植物を植える
スポンジに種をまいて芽が出たものをハイドロボールに定植します。ハイドロボールの上に直接種をまいても構いません。バクテリアを増やす
上部フィルターのセットができたら、魚の餌を少しだけ入れてやります。この状態で数日~1カ月程度水を循環させることで、バクテリアが増えて水を綺麗にする土台ができます。時間を短縮させたい場合はバクテリアの元なども市販されています。次にライトをセットします。
3. ライトのセット
水槽のある場所が暗いため、植物にライトが当たるようにします。水槽に乗せていたライトを上部フィルターの上に移動させます。ライトを高く上げるには、ライトリフトというものを使います。市販のリフトでは高さが足りないため、今回は自作しました。また、吊り下げるタイプが使える環境であれば、市販のものでも使うことができます。
ライトリフトの作成
水がかかることもあるので、水に強い素材を使います。アクリルのパイプ、5mmのアクリル、それに接続部品を3Dプリンターで製作しました。パーツをはめ込むとこのような形になります。これを2セット作ります。
ライトリフトのセット
上部フィルターの上にのせてやります。約30cmほどリフトされ、植物が育つスペースができました。4. 魚を入れる
準備が整ったら魚を入れます。いきなり魚を入れるのではなく、魚が入っている袋を1時間ほど水に浮かべ、温度を合わせます。その後、袋を浮かべたまま、袋の口少しを開け、ゆっくり水が混じり合うようにします。数時間かけながら徐々に水が混じり合うようにし、最後に魚を水槽の中に放します。
5. 育成
その後は、魚に餌をやっていけばOK。アクアポニックスは通常の水槽に比べて水替え頻度は少なくて良く、水槽の大きさと魚の量にもよりますが1カ月に1回程度で済むようです。ただし、立ち上げ直後は水質が安定せず、魚が病気になったり死んだりしてしまうことが多い時期。また、その後も魚の量が多いわりに植物の育つ量が少ないと水質が悪化します。定期的に水質テストをし、アンモニア濃度や硝酸塩、亜硝酸塩濃度が高い場合には水替えをしましょう。
検査紙を使った水質検査の仕方
テストはテスト紙や試験薬を使うと簡単です。水槽の水に付け、所定の時間待って色をサンプルと見比べるだけ。立ち上げ時期は3日~1週間に1回程度、安定してからも1カ月に1回は行いましょう。立ち上げ後のテストキット(アンモニア・亜硝酸・硝酸)
バイコム スターターテストキット
立ち上げ後のチェックにぴったり、アンモニア、亜硝酸、硝酸のテストキット。吸う形なので、検査薬の割に簡単にチェックできます。
アンモニア、亜硝酸、硝酸、の3つを簡単に測定。顆粒状の試薬が入ったチューブで水槽の水を吸い上げ、振って3分待つだけです。
亜硝酸だけ水を10倍に薄める必要があり、やや面倒ですが。アンモニアと硝酸はかなり簡単に測れます。
アンモニア・亜硝酸・硝酸、各3本入り。個別にも使えますが、水槽の状態を見るには3つとも測った方が良いので3回分です。水槽の立ち上げにおすすめです
出典: Amazon
6種のテストを一度に
テトラ(Tetra)テスト 6 in 1 試験紙
低コストでいろいろ測るならこれ。ペーハー、亜硝酸塩、硝酸塩、塩素、炭酸塩硬度、総硬度が一度に測れます。立ち上げ直後に気を付けたいアンモニアはないので注意。
説明書にもあるように、水に一秒浸け、余分な水分を振り落とし、60秒後に測定します。
・水に浸けすぎてはダメ
・水分を振り落とすときに各パットの水滴が他のパットに掛かり色混ざりにならないように気をつける、紙に水滴が残りすぎないようにする、ティッシュなどで吸い取り色が薄くならないようにする
・時間が経過しすぎると乾燥か空気成分との反応なのか、色が変わるので水から揚げて正確に60秒時点で観測する
出典: Amazon
検査結果による対処法
アンモニアが高い
アンモニアは魚を入れた直後に高くなりやすいです。バクテリア(硝化バクテリア)がまだ働いていません。アンモニアは魚にとってとても有害。数値が高い場合は水替えをしながら様子を見るか、バクテリアを足すなどを考慮しましょう。亜硝酸塩が高い
アンモニアほどではありませんが、魚にとって有害です。亜硝酸塩が出る場合、消化バクテリアが働きかけていると思われます。極度に高くならなければ様子を見て、下がらない場合は水替えやバクテリアの投下を行います。硝酸塩が高い
バクテリアによって分解され最後にできる物質です。魚にとっての毒性は低いです。植物によって吸収され、植物が育つのに使われます。この値が高い場合、魚に対して植物が少ないことが考えられます。植物を増やす、魚を減らすなどしてバランスをとりましょう。ペーパーが高い・低い
底砂や硝酸、エアレーションによって変化します。pH調整剤等を使って中性に調整しましょう。地球の循環のミニチュア版!アクアポニックスを始めてみよう
アクアリウムをやっている人ならばすぐにでも始められるアクアポニックス。水の中だけではなく、土の上の働きまで含めた循環型水槽にしてみませんか?水替えの手間が少なくなるうえに、野菜やハーブが育てられるメリットもあります。あなたの水槽もアクアポニックス化してみては?紹介されたアイテム
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